中国渡航の手引き

中国渡航に際し、注意すべき内容や役立つ知識について、本ページにまとめてあります。
中国への渡航の際には、ぜひご活用ください。

以下について不明点や疑問点があれば、お気軽に@Akagi__JPのDMまでご連絡ください。

ビザ

2024年11月30日より、日本人が「商業・貿易」「観光」「親族訪問」「交流・訪問」の目的による30日間以内の中国滞在に対して、ビザが免除されるようになりました!
なお、「留学」や「就労」等上記以外の目的による入国時は引き続きビザが必要となります。

以下の記載はまだビザが必要だった時代のもので、備忘として残しております。
直近でビザ免除対象の方は読み飛ばしてください。

ビザの申請手順

まず最初に、ビザを申請するには、予約済みの航空券およびホテルの旅程が必要です。
中国のビザ申請は、オンライン上で申請書を作成してから初めて予約が取れるのですが、観光ビザの申請の際は、申請書に航空便の入力が必須となっているようです。(主は観光ビザを申請したことがないのでこのあたりは不確かです)

基本的に、通常申請であれば4営業日でビザが発行されます。急ぎの場合は、2営業日後の午後に受取可能な特急申請もあります。
なお、時期によってはビザ申請センターの予約が混み合って1ヶ月ほど先まで取れない場合があります。時間には余裕を持って!

申請はこちらから:中国签证申请服务中心

トランジットビザ免除制度

上海や北京、杭州、深圳などの多くの都市では、トランジットビザ免除制度を実施しており、72時間、または144時間の間、ビザ無しでの滞在が可能です。
本制度を使用する場合、以下の制約があります。

  • トランジットビザ免除制度対象国であること(日本は対象国です)
  • パスポートの有効期限が3ヶ月以上残存していること
  • 中国を経由して第三国へ出国する航空券を所持していること
    • 日本 – 中国 – 日本の単純往復は不可
    • 日本 – 中国 – 韓国 – 日本など、第3国を挟む旅程なら可
  • 中国国内では、指定された地域から出ないこと

本制度についての詳細は以下のサイトをご確認ください。

国家移民管理局、72時間・144時間トランジットビザ免除手続きを解説(中国)


ここからはAkagiの個人的な所感ですが、ビザの取得を面倒くさがってトランジットビザ免除制度を使用したくなってしまいますが、ある程度旅慣れている方でなければ、面倒でも通常のビザを取得して渡航することをオススメします。

トラブルが発生したときに「制約が少ない」というのは案外便利なものです。144時間ギリギリの旅程にしたら飛行機が欠航し翌日の便に振替になり、滞在期限を超過してしまう…なんてことがあると大変です。

※追記 最近そんな事例がありました。

https://twitter.com/tel_cellphone/status/1827468407379521569

ホテル

中国のホテルには「外国人を受け入れられるホテル」と「外国人を受け入れられないホテル」の2種類があります。
これは、中国の法律により、中国に滞在する外国人はその滞在地を公安局に届け出なければならない(住宿登记)と決められており、その届け出に対応しているかどうかで外国人を受け入れられるかが決まるためです。

海外のOTAを介してホテルを予約した場合基本的には問題ないのですが、念のため宿泊先のホテルが外国人の受け入れに対応するホテルか調べておくと安心です。
基本的に「外国人を受け入れられないホテル」というのは、民泊や安宿がそのほとんどですので、ある程度のランク(1泊4,000円〜)のホテルであれば問題ありません。

Trip.comでの外国人も宿泊できるホテルの例
海外OTAを介して予約できるホテルは大体OK
Trip.comでの外国人が宿泊できないホテルの例
民泊に多い(本画像も民泊のもの)

通信

中国の電話番号は実名制で、旅行者用のプリペイドSIMのようなものはほとんどありません。
(中国対応を謳うプリペイドSIMのほとんどは香港で発行されたローミング用のSIMです。)
中国でモバイル通信を使用する場合には、以下の手法があります。

  • 日本からモバイルWi-Fiルータをレンタルする
    • グローバルWi-Fi」「PENTACT Wi-Fi」など
    • 最も安価なことが多い
    • Wi-Fiルータとスマートフォン2台の電池残量を管理する必要があり、やや面倒
    • 後述のVPN機能が搭載されていない機種の場合、別途VPNの設定をする必要がある
  • 日本の通信キャリアの海外ローミング機能を使用する
    • スマホで簡単な設定をするだけで通信が可能
    • モバイル通信を使用する場合、後述のVPNの設定が不要
    • 値段が高い(ただしahamoを使っている人なら料金に含まれているのでお得!)
  • 香港発行のプリペイドSIMを購入し使用する
    • Amazon楽天市場などで購入可能(「中国本土ならびにマカオで使用可能」と記載のあるものを選ぶこと)
    • スマホ1台で通信が可能
    • モバイル通信を使用する場合、後述のVPNの設定が不要
    • SIMカードの差し替えが必要で、デュアルSIMに対応していない機種では、日本の携帯電話番号が滞在中使用できなくなる
      (クレジットカード等のワンタイムパスワードが受信できなくなるので注意!)

なお、ホテルのWi-Fiは認証に時間を要したり、有料の場合もあるので、個人的にはオススメしません。

日本の回線

日本の回線について、海外でアクティブにするだけであれば、追加料金はかかりません。
また、docomo、au、softBank、Rakuten Mobileの4社ともに、SMSの受信だけなら通信料はかかりません。

よく勘違いされているのですが、回線をオンにするだけでは2,980円/日等の定額料金はかかりません。この料金は、現地でローミング通信をした場合に限るもので、回線をオンにするだけなら一切の追加料金はかかりません!SMSも受信できるので、クレジットカード等のワンタイムパスワードの受信もバッチリです。

ただし必ず、回線の設定から「データローミング」をオフにしてください!

なお、音声電話の着信には着信料がかかりますので、ご注意ください。なお、VoIP等のインターネットを介した音声通話(LINE通話等)はデータ通信に課金されます。

海外ローミングをする場合

海外ローミングをする場合、各社の定額プランが使用できます。また、一部契約によっては海外ローミングが料金に含まれている場合もあります。
以下は一例です。(事前申し込みが必要なものもあるので、必ずご自身でご確認ください。)

  • docomo:980円/24時間/国内契約プランの通信量(世界そのままギガ)
  • au:1,000円/24時間/無制限(au海外放題)
  • SoftBank:980円/24時間/3GB(海外あんしん定額)
  • Rakuten Mobile:無料/2GB
  • ahamo:無料/国内と合わせて20GB
  • povo:680円/3日/1GB

VPN

ご存じかもしれませんが、中国のインターネットには「グレートファイアウォール」と呼ばれる検閲があり、多くの海外サービスが利用できません。

  • Google(YouTubeを含む)
  • Twitter(旧X)
  • Facebook
  • Instagram
  • Discord
  • LINE
  • Yahoo!

これを回避するためには、VPNを使用します。
VPNとは、Virtual Private Networkの略で、簡単に言うと、パブリックなインターネットの中に、通信内容が傍受されないように自分専用のトンネルを作成し、別のサーバを介してインターネットにアクセスするものを指します。

日本のVPNサーバを使用することで、中国にいるのにもかかわらずあたかも日本にいるかのようにふるまってインターネットを利用することができるようになるのです。

VPNサービスにはいろいろありますが、個人的にオススメなのは小龍茶館さんの「1coinVPN」です。

中国人のエンジニアと共同開発しているため若干日本語が不自然な点はありますが、香港に在住している日本人が運営しているサービスで、運営者がTwitterで中国事情も発信しています。費用も最安のプランで月額30元(約650円)で、1ヶ月で解約が可能なので非常にリーズナブルです。
私は「共用サーバコースプレミアム版(60元/月)」を使用しています。
(決してステマとかではないです!)

なお、先述の「海外ローミング」や「香港のプリペイドSIM」を使用している間は、ローミング元のキャリアのネットワークまでVPNのようなトンネルを通って通信をするので、VPNを使用せずとも制限されているサービスが利用可能です。

QRコード決済アプリ

中国では、QRコード決済の利用率が非常に高く、特に都市部では現金はほとんど使われません。
また、クレジットカードは国産の銀聯カードが主流で、VISA、Mastercard、JCBなどの世界的に普及している各決済ブランドは使えないところも多いです。

QRコード決済のアプリを1つ使えるようにしておくと、事前に両替をして現金を用意する必要もなく、また各店舗でクレジットカードが利用可能かどうかを気にすることなく直接中国元で支払いをすることが可能です。
また、タクシー配車や地下鉄乗車、モバイルオーダー等もQRコード決済アプリ内で完結するので、事実上ほぼ必須に思います。

現在中国のQRコード決済として使用できるのは、大きく分けて支付宝(Alipay)と微信支付(WeChat Pay)の2つで、いずれも2023年後半から外国人も利用できるようになりました。

  • 支付宝(Alipay)
    • 決済、タクシー配車、鉄道や航空券の予約、ホテルの予約などができるスーパーアプリ
    • 決済機能がメインで、チャット機能が付属するイメージ
    • アプリを起動すると決済関連のメニューが最初に立ち上がる
    • 日本でいう「PayPay」のような感じ
    • ダウンロード:App Store / Google Play
  • 微信支付(WeChat Pay)
    • チャットアプリに決済機能が付随している
    • アプリを起動するとメッセージメニューが最初に立ち上がる
    • 日本でいう「LINE Pay」(サ終しちゃった…)のような感じ
    • ダウンロード:App Store / Google Play

いずれも、会員登録、電話番号認証が必要です。電話番号認証は日本の電話番号でもできるので、出発前に余裕を持って実施しておくと安心です。また、パスポートによる本人確認をすると、決済限度額が引き上げられるので、大量に決済する予定のある方は本人確認をしておくと安心です。

個人的には、中国に行く機会の少ない旅行客なら、AliPayの方が良いかと思います。

出入国スタンプ

現在、日本人の入国審査は自動化ゲートで無人化されており、出入国時にスタンプが押されません。
通常の旅行なら問題ないのですが、中国へ渡航する際は、このスタンプが無いことでトラブルになることがあります。

中国の入国審査官には、日本はスタンプが省略することが周知されているので、入国時にトラブルになることは少ないです。しかしながら街中では未だに浸透してないところもあり、とくに先述のホテルでの住宿登记の際などに聞かれることがあります。
都度説明するのは面倒ですし、伝わる保証もありませんので、スタンプはもらっておいた方が吉です。

また、中国のビザ申請の際にはパスポートの原本を提出して出入国履歴を確認します。スタンプがないと履歴が参照できず、外務省に入国履歴を開示請求することになり3週間ほどかかってしまうことになってしまうので、ビザ申請の予定がある方もスタンプはもらっておきましょう。

日本の出入国時に、有人ゲート(再入国ゲート)を通過するか、自動化ゲートの通過後にブースもしくは事務所に行ってパスポートを差し出せば押してくれます。

入国カード

入国カード(表面)
入国カード(裏面)

中国入国に際して、外国人は入国カードの記入が求められます。
英語表記もあり、海外渡航経験のある方なら何を書けばいいか大体分かるかと思いますが、以下に説明を記載しますので、お役立てください。

表面:旅客事項

    • 日本人の方はパスポート綴りの英語で記入してください。
    • 姓と同様にパスポート綴りの英語で記入してください。
  • 出生日期
    • 生年月日
    • YYYYMMDD形式で記入してください。
  • 旅行证件号码
    • パスポート番号
    • 日本人ならMかTから始まるアルファベット2桁+数字7桁の9桁です。
  • 抵达航班/车次/船名
    • 到着する航空便/列車/船便名
    • JL89、NH967、MU576、MM877のような形です。
  • 本人电话号码
    • 本人の電話番号
    • 中国の番号があれば望ましいですが、なければ日本の番号でもOKです。日本の番号を記入する場合は「+81 90XXXXXXXX」のように、冒頭に+81を付け、最初の0は省略します。
  • 在华经停和目的城市
    • 滞在する予定の都市
    • 「北京」「上海」「四川」など、大体で大丈夫です。
  • 在华地址或旅馆名称
    • 滞在する住所またはホテル名
    • 複数箇所に滞在する場合は最初に泊まるホテルを記入すれば大丈夫です。英語で問題ありませんが、書ける方は中国語で記入すると親切です。
    • 親戚の家等、ホテルに泊まる予定のない方は住所を記入してください。なお、ホテルに泊まらない方は先述の「住宿登记」が必要なのでご注意ください。
  • 性别
    • 性別
  • 国籍
    • 国籍
    • 「日本」もしくは「JPN」と記入すればOKです。
  • 中文姓名
    • 中国氏名
    • ほとんどの方には関係の無い欄です。元中国籍で日本に帰化した方などで、旧中国氏名を持つ方は記入が必要です。(システム上記録されているので、未記入でも審査官が勝手に記入してくれることがありますが…)
  • 签证号码
    • ビザ番号
    • 31日以上の滞在、留学、就労などの滞在でビザが必要な方が記入します。
    • 30日以内ビザ免除制度での入国の際は、必ず「免签」にチェックを付けてください。入国審査場でここにチェックが付いていないことで「君はビザを持っているのか?ビザ免除なのか?」と聞かれるケースを何度も見聞きしています。
  • 入境事由
    • 入国理由
    • 基本的には「旅游」で問題ありません。トランジットビザ免除制度で入国する方は形式上「过境」にしてください!

裏面:質問事項

  • 1. 您是否定妥出境行程?如是,请填写具体安排。
    • あなたは出国の旅程をお持ちですか?お持ちであれば、具体的な予定を記入してください。
    • 30日以内ビザ免除制度での入国の際は、出国便/列車/船の予約がほぼ必須です。場合によっては出発地で搭乗を拒否されることもあります。
    • ある場合は「是」にチェックを入れた上で、「出境时间」に具体的な日付を、「出境航班/车次/船名」に便名を記入してください。
    • 徒歩で香港に出国する、列車の発売日前で旅程が確定していない等の理由がある場合は、その旨を記入してください。
  • 2. 您是否有中方邀请单位或邀请人?如有,请填写其联系信息。
    • あなたは中国に招待団体もしくは招待者がいますか?もしいれば、その連絡先を記入してください。
    • ほとんどの入国者には当てはまりません。「否」にチェックを入れて空欄で大丈夫です。
    • 「就労」「留学」で入国する方や、「親族訪問」「商用」で入国する方で、中国国内の招待団体や招待者がいるときは、その名前と連絡先を記入します。
  • 3. 您在过去两年曾去过哪些国家(地区)?
    • あなたは過去2年間でどの国(地域)に行ったことがありますか?
    • 過去2年間の訪問国および地域を記載します。香港、澳門、台湾もこれに含みます。
    • 英語でも中国語でも大丈夫です。(以下参考)
    • ちなみに、シェンゲン圏内をまとめて「申根」「申根内」と記載してもOKだった話を聞いたことがあります。シェンゲン圏内で訪問国数が多い方はまとめてしまってもいいかもしれません。
  • 我保证以上申明真实准确,知晓如不如实申报将承担相应法律责任。
    • 私は、上記申告が真実かつ正確であることを保証し、虚偽の申告をした際には法律上の責任を問われることを承知します。
    • よく見る同意文ですね。「签名」に自身のサイン(日本語でも可、パスポートと同じサインが望ましい)を記入してください。

VJWについて

中国渡航とはあまり関係がないのですが、日本への入国においてVisit Japan Webと呼ばれる電子申請システムが使用できます。

詳細はこちら:Visit Japan Web / Visit Japan Web 操作説明書

事前にオンラインで入力することで、税関申告書の記入が不要になったり、(手荷物返却所の端末での登録が必要ですが)顔認証で税関を通過したりと、比較的便利です。
羽田空港では実証実験として、入国審査前のKIOSK端末で登録することで入国審査から税関まで全てが顔認証、ノンストップで通過できるようになっているようです。

(もっとも、最近の入国者の多さからか、電子申告ゲートが混んでいて、通常のゲートの方が早い、なんてこともありますが…)

その他豆知識とか

中国のホテルや航空券を取るならTrip.comがおすすめです。中国国内で展開している旅行会社Ctripの海外向けOTAで、基本的なシステムはCtripと共通化されており中国に最適化されています。特にこだわりが無ければTrip.comがベストに思います。

中国のシステムあるあるですが、電話番号認証等で国名を入力する際「日本」がJの欄に出てこないことがあります。原因は単純で、英語表記ではなくピンイン表記でアルファベット順に登録されているからで、そういった場合は「日本」のピンイン表記「rì běn」で、Rの欄を探すと出てきます。


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